有益なコンテンツとは何か?『マクサン式Webライティング実践スキル大全』インタビュー

月間100万PVの「ガジェットブログ」を運営するマクリン(新井 涼太)さんと「ブログ論ブログ」を運営するサンツォ(吉岡 智将)さん。

ブログが累計2400万人以上に読まれてきた2人の「成功の方程式」を初公開した書籍『マクサン式Webライティング実践スキル大全』が2022年4月22日に発売されました。

本記事では、出版を記念しておふたりにインタビューを行いました。

「書く副業」で安定的に「月収+10万円」を実現するためのWebライティングの全スキルについて、本書のステップに沿ってお話しいただきます。

マクリン(新井 涼太)

1983年、京都府生まれ。株式会社makuri合同会社レイテラス 代表取締役。

半導体メーカー・表面処理メーカーの営業を経て、食品会社に入社。営業を経験後にマーケティング部門に異動し、副業でガジェットサイト「マクリン」の運営を開始、約2年で大きく成長。同じ頃、メディア事業を手掛ける株式会社もしもに転職し、2019年12月に副業を株式会社makuriに法人化。20年4月に合同会社レイテラスを設立し、コワーキングスペース「レイテラス」を開店。21年5月に妻(ヨメリン)と共同で撮影スタジオ「レイテラススタジオ」もスタート。21年10月に「買ってはいけないドットコム」を開設。

副業ブロガー向けオンラインサロン「マクサン」の共同オーナーをつとめ、妻は雑貨ショップ「ハナトツキ」も手掛ける。

サンツォ(吉岡 智将)

1976年、東京都生まれ。合同会社田舎暮らし代表取締役。

本業ではIT企業にてWebマーケティングを担当。2013年6月より副業でブログを開始。

複数のブログ・SNSを運営した経験を活かし、ブログやアフィリエイトのノウハウを発信する「マクサン」を開設。またマクリンと共同で、副業ブロガーのためのオンラインサロン「マクサン」のオーナーを務める。

20年3月より、キャンプ料理を365日毎日発信するInstagram「ベランダ飯」アカウントを開始。ブログ「ベランダ飯」や、宅配弁当や宅配食材のレビューサイト「おいしい宅食」なども開設。千葉県いすみ市にプライベートキャンプ場を開拓するなど、TV・ラジオ・雑誌などに多数出演するキャンプ飯研究家としても活動中。

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目次

ステップ0:有益なコンテンツの考え方

——まず、本書のステップ0となる「有益なコンテンツ」とは、具体的にどのような考え方なのでしょう?

マクリン:有益なコンテンツとは、大前提として読者の検索ニーズを満たすというベースがあり、新しい発見や知見がある記事が有益なコンテンツだと思います。読者が求めていた答えを返してくれる記事ですね。

サンツォ:僕もマクリンさんと同じですね。検索した人が求める答えがその記事に書かれているのが必須条件です。さらに、答えが見つけやすかったり期待以上の答えが返ってくると理想的です。
ステップ0では、主に有益なコンテンツをつくるための本質と概要を説明しています。「有益なコンテンツとは何か?」という問いは、本書全体を貫く最大にして唯一のテーマでもあるんですよね。

マクリン:僕たちのサロン(マクサン)でも検索意図からズレてるコンテンツの相談が多く、ほぼそこだけをアドバイスすることも多いです。読者の検索ニーズを満たせていないか、把握しきれていないサイト運営者が多い印象です。検索ニーズが満たせていれば、8割有益なコンテンツは完成するんですよ。

——検索意図を満たしたコンテンツをつくるための施策が知りたいです!

マクリン:本書はステップ1〜5に分けて実践術や施策を構成しています。それぞれステップに沿ってくわしく紹介しますね。

ステップ1:読みたくなる記事の書き方

マクサン本_読みたくなる記事の書き方

——ステップ1では、基本的なライティングルールを解説しています。記事を作成するにあたって、どのようなルールで執筆したらいいのでしょう?

サンツォ:ここでいうライティングルールとは、文末の表現であったり主語述語の使い方など基本的なことを記述しています。とはいえ当たり前のことだけではつまらないので、具体的な文例をかなり多めに入れました。

マクリン:文例を用いて言語化するのって大事ですよね。

【英数字を半角にする例】

× 太郎は100%純粋な日本人だが、インド人と間違われたことが過去に5回以上ある

○太郎は100%純粋な日本人だが、インド人と間違われたことが過去に5回以上ある

——確かに、初めて書く人にとってはルールがあるのかないのかさえわからないですよね。

サンツォ:Webの記事ってそこまで杓子定規的にルール通りに書かなくてもいいじゃないですか。読者にとってわかりやすく、伝えたいことが伝わることが最終的なゴールだとおもうのですが、そのわかりやすい・伝わりやすいという指標がわからない人に向けて書いています。たとえば「太郎」「次郎」「花子」という共通の登場人物にして説明したり。

マクリン:登場人物が統一されているのはわかりやすいなぁ。

サンツォ:実は僕のブログでも、なにか説明するときに人気アニメの登場人物を用いながら例にしていたんですよ。そのほうが読者も興味をもって読んでくれるし、記憶にも残るんですよね。あとは、わからないことや疑問を感じたときに、辞書のような感覚で該当箇所を見ながら答え合わせができるように構成しています。

——ほかにも、文字装飾の失敗例・成功例を例文を用いて比較したり、図解や一覧表の効果的な使い方など、読みやすくなるWebライティングの手法が多数書かれています。

ステップ2:SEOライティングの成功法則 

マクサン本_SEOライティングの成功法則

——SEOライティングの最適解について気になる方も多いと思います。具体的な成功法則はありますか?

マクリン:SEOってそもそも答えがないのに、みんな答えを求めてるじゃないですか。本書では、結論づけて書かないと読んだ人の満足度は高まらないと思ったので、自分なりにやって結果が出ていることや、再現性の高い手法をこの章に詰め込みました。ぶっちゃけ、書きたくないことも結構ありましたね……。

——それは世に知られたくない手法についてですか?

マクリン:そうそう。たとえば、なぜこの記事がこのビッグワードで検索上位に上がっているのかというトピッククラスターのメカニズムを種明かししている章があるんですよ。

トピッククラスターについて、内部リンクの入れ方や、どのキーワードで記事をつくっているか具体的に説明している書籍って今までほぼなかったんです。トピッククラスターという言葉の概念はわかっていても、どうやってつくっているのかわからない人の方が多いと思います。それを実際に上がっている記事をもとに解説しました。

——おお、それは再現性がありますね。

マクリン:本当は書きたくなかったですね。(笑)

ただ、どの本にも書いてありそうなSEOの集合体にはしたくなくて、読者の期待を上回るために「実際に僕はこうやっている」という実践例をすべていれました。誰でもこのとおりにやれば成果がでるよ、という内容なので、YMYLジャンル以外は結果が出せるのではと思います。

——確かに、YMYLジャンルは根本的な部分でむずかしそうですね。しかもSEOって執筆している間に対策方法が変わりませんか?

マクリン:そうなんです。日々変わるので3月末のギリギリまで書いていました。ゲラの段階でも朱字いれていましたね。

——では本当に最新の情報が詰め込まれてますね! 他にも力をいれている部分はありますか?

マクリン:検索意図に沿って書こう、とよくいわれますが検索意図の絞り出し方がわからない方が多いです。それを、再現度の高い「こうしたら出せる」というやり方を書きました。

たとえば「カフェ」の検索意図は「カフェに行きたい」というように、大まかに分類しています。

  • 「カフェ」→ 行きたい
  • 「ティッシュ」→ 買いたい
  • 「排水溝 ぬめり」→ 問題解決
  • 「WordPressとは」→ 知りたい
  • 「ゲーミングPC おすすめ」→ 比べたい

「行きたい」という検索意図なら地図情報だったり「買いたい」ならECサイトのリンクが、検索結果ページ上にカード型で表示されることが多いです。ユーザーの検索意図を理解し、要望にあった形で届けると収益アップにもつながるので重要です。

他にも、検索意図を絞り出すためにどのツールをつかったらいいかも書いているんですが、実際にツールの製作者にも使い方に間違いがないか原稿を確認してもらい、許可をもらいました。

——ライティングだけではなく、マーケティングの手法についても多く触れていますよね。

マクリン:もともと「マーケティング」をタイトルに冠しようか迷ったほどなんですよ。「SEOマーケティング」みたいな造語でもいいんじゃないかみたいな。

サンツォ:マーケティングについても多く触れていますが「マーケティング」で書いちゃうとターゲットがやや絞られちゃうんですよね。

マクリン:「ライティング」の方がどんな人にも通じやすいですよね。なので、できるだけあいまいな言葉を避けて、細かい部分まで言語化して書いています。

ステップ3:E - A - Tの強化方法

マクサン本_E-A-Tの強化方法

——最近は、E - A - T(Expertise/専門性・Authoritativeness/権威性・Trustworthiness/信頼性)の強化がSEOライティングにおいて重要といわれています。

マクリン:E - A - Tをちゃんと理解せず、権威性について本質から外れている人が多い印象です。勘違いして「被リンク企画」などをしている人がよくいるんですよ。なので、Webサイトの専門性・権威性・信頼性を高めるための具体的な活動やスキルについて書いています。

——たとえばどのような施策があるのでしょう?

マクリン:Webサイト上の施策なら、構造化データの設定についてなどですね。構造化データとは、検索エンジンが理解できる言語でサイトの情報を伝える手法です。たとえば記事中に動画を埋め込む場合、その動画がどのような内容なのか検索エンジンがわかるように伝える必要があります。

マクサン本_構造化データの記述方法について

マクリン:動画なら動画の構造化データを埋め込みます。ほかにも「よくある質問」の構造化データも入れると、質問と回答について検索エンジンが理解できるようになります。場合によっては検索結果のアコーディオンメニューに出てくることもあります。検索エンジンがサイトの情報を正確に把握できるようにする手法をくわしく書きました。

——Webサイト上の強化方法だけではなく、YMYLとの向き合い方やSNSアカウントについてなど、一歩成長できる施策がもりだくさんですね。

サンツォ:E - A - Tについては、購入者限定の特典動画でも紹介しています。ふたりで共同運営しているWebサイト「おいしい宅食」のE - A - Tの高まり方のしくみを動画でくわしく解説しました。

ステップ4:推敲・リライトの手順

マクサン本_推敲・リライトの手順

——コンテンツが増えると、サイトの方向性の推敲やリライトが必要になってきますが、どのような点に気を付けたらいいのでしょう?

サンツォ:リライトはもちろんですが、この章ではどちらかというと推敲についてメインで書いています。

本書でちらばっている内容だけではなく、マクサン(オンラインサロン)で行なっている記事診断と僕が個別でやっているブログ診断で頻出するフィードバック内容をチェックリスト化しました。

みんなが引っかかりやすく見落としやすい重要な部分を説明しているので、このリストをもとに自分のWebサイトをチェックしてもらえば問題を改善できるしくみになっています。

マクリン:自分で掻い摘みながらこれは自分のコンテンツに必要かどうか、分かる人と分からない人がいますからね。リストで洗い出しできるのは効率がいい。

サンツォ:もうひとつ、リライトのポイントとしてはムダな情報をカットするのも重要です。記事内のムダな情報を削るのはもちろんですが、コンテンツが重複している場合は記事を統合したり、リダイレクトをしたり。

——記事そのものを削除したり文章をカットするのって怖かったりしませんか?

サンツォ:簡単に記事を削除しようとする人が多い印象です。「半分くらいムダな記事なんですが、消しちゃっていいですかね」みたいに。

マクリン:YMYL系のことを書いていたら下書きにしたほうがいい、というアドバイスはしていますね。

サンツォ:実は、僕は消さない派なんですよ。可能な限り有益なコンテンツになるように書き直して仕上げています。とはいえ、膨大な数がある場合や「リライトするくらいならイチから書き直したいな」というときは消しちゃっていいかなと思います。

  • 検索意図からのズレを修正する
  • 必要な内容を担保しながら余計な文節を削る
  • 同じ意味合いの文章はできるだけなくす
  • 必要のない接続詞を入れていないかどうか

マクリン:あとはサーチコンソールを使って、記事単位で流入しているキーワードをチェックし、お宝キーワードを盛り込む手法についても書いています。チェックリストと合わせて、具体的にどのようなツールをつかってリライトしていけばいいのかが分かる章になっています。

ステップ5:ブログ収益化の戦略 

マクサン本_ブログ収益化の戦略

——ブログ運営において収益化のチャネルはたくさんありますが、どのような方法で収益化させるのがいいのでしょう?

サンツォ:文章が書けても、ユーザー心理や行動を考えられていない人が多い気がします。収益化できる中級者へステップアップする境界線として、セールスライティングができるかどうかだと思います。

よくあるんですが、あまり好きじゃない質問のひとつに「広告ってこの位置でいいですか」と聞かれるんですよ。答えとしては「読者がほしいと思ったタイミングで広告を貼る」としかアドバイスができないんですよね。セオリー通りに記事の最初と最後に置くまえに、まず考えてみてほしいなと思います。

——と、いいつつ本書では広告を貼る場所ごとの特徴について具体例を書いてくださってますね。

サンツォ:書いてましたね。(笑)

あとは、セールスライティングにおいて「物を売るのではなく物語を売ろう」ということが重要だと思っています。モノ自体のスペックよりも、それを買うことによってどのような問題解決ができるのかベネフィットを伝えるのが重要です。特にマーケティングにふれて来なかった人はそのあたりがわからないので、くわしく説明しています。

——確かに、モノそのものよりも問題解決するための手段としてモノが欲しいという潜在ニーズがわからないと、スペックばかり伝えちゃう記事になってしまいますね。

サンツォ:商品情報は公式サイトを見ればわかるので、スペックを羅列するような記事を書いている人にこそ読んで欲しい章です。

マクリン:あとはブログ運営をしていると、アフィリエイトで稼ぐのが答えと思われがちなんですが、数ある収益方法のなかの一つに過ぎません。SEOだけ・アフィリエイトだけで収益を重ねていくのはリスク分散ではないという点も警鐘を鳴らす意味で書いています。SNS、メルマガ、PPCといった手法についてもチラッとお見せしていますよ。

——全部を頑張ろうとする人も多いと思いますが、まずはすべてやってみて自分にあったものを選ぶのがいいのでしょうか。

マクリン:そうですね。まずは一度やってみないと、自分に向いているものが何かわからないと思います。たとえばブログには向いていなかったけどYouTubeで花開いた人もたくさんいます。ブログの本ですが、ブログに固執しなくてもいいと思っています。

サンツォ:これからブログで収益化したいという人も多いと思いますが、付録に「WordPressの始め方」「WordPressの基本的な操作方法」がDL形式でついています。WordPressでブログをはじめたばかりでまだよく分からないという方にもためになると思います。

——WordPressの始め方だけではなく、ConoHa WINGなどサーバーについても触れていますね。

マクリン:ConoHa WINGは、ダッシュボードがつかいやすくユーザビリティが高いサーバーですよね。ドメイン取得してからの連携の仕方がわかりやすいので、この本をきっかけにWordPressを始める方にはおすすめです。テンプレートコピーができるので、たくさんサイトをつくりたい人にもよさそう。

サーバーとテーマが連携されているのでテーマが割引になったり、ドメイン最大2つもらえたり、ブログのスタートダッシュのサポートが充実していますね。

17本のコラムも収録

——おふたりのノウハウ以外に、コラムも17本と充実していますね。

マクリン:コラムでは、ブログ運営を初めたばかりのときにどう試行錯誤してきたかをつぶさに書いています。どうやって壁を突破してきたか、初心者ブロガーにも共感してもらえるのではと思います。

サンツォ:僕も、リスクヘッジの手法について書いていますね。くわしくはコラムに書いているんですが「お父さん」を単位にしたり。

——お父さん……?どういうことかコラムでチェックしてみます。

サンツォ:(笑)

マクリン:あとは、実は初めてテキストで書いたんですが、僕が物販アフィリエイトで稼いだコツや手法も掲載しています。

——それは読み応えありますね。ほかにはどのようなコラムが収録されていますか?

マクリン:マクサンメンバーにも「その分野の第一人者になるまでの道」として成功体験を執筆いただきました。ASP担当者との付き合い方や、Instagramで月100万円稼いでる人の収益化についての考え方、10万人以上の登録者数がいるYouTubeチャンネルのブランディングの方法など。さまざまなジャンルで書いていただきました。

——ブログ以外のジャンルでの成功体験も読めるんですね。

サンツォ:ほかにも、マクサンの卒業資格(2ヶ月連続50万円以上の収益)に向け、愚直に4年かけてどう達成したかという、ブログの伸ばし方も書いてもらっています。

まとめ

マクサン本_まとめ

——最後に一言お願いします。

マクリン:本書では、自分なりにいま持っている最高の手法を詰め込みました。人によっては難しく感じる部分もあるかと思いますが、新たな発見や知見をひとつ以上もち帰れるようにしています。教科書的に傍らに置いていただき、わからないときに該当する章をパラパラめくってもらえるような、長いおつきあいになる本になればと思います。

サンツォ:この本は、僕のブロガー人生の集大成であると思っています。Webサイト「マクサン」をはじめたときのコンセプトがブログによってその人の人生をよりよくしたいというものでした。

ブログによってその人の人生を肯定したり、幸せになってもらったり、どん底の人が這い上がるきっかけになるようにという思いを込めてつくったんですよ。その後、サロンを開きオフラインでも交流の機会が増えたり、さまざまな形態を経るなかで散らばっていたものが、本によって一つに整理されました。 

マクリン:実は、僕たちの知識をアーカイブしたのって今回が初めてなんですよ。

サンツォ:マクサン(オンラインサロン)内で言ったことも、情報が散らばってて探しにくいといわれることもありますからね。散らばってたものが順序正しくまとめられたのは意味のある本かなと思います。

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